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最近、ニュースやSNSで「ステーブルコイン」という言葉を耳にする機会が増えていませんか。
2023年の法改正をきっかけに、三菱UFJなどの大手金融機関が続々と参入を表明し、日本の金融市場はまさに新しい時代の幕開けを迎えようとしています。
これは、株式投資家にとって見逃せない大きなチャンスかもしれません。
この記事では、大注目の「ステーブルコイン」について、基礎知識から国内外の有望な関連銘柄、潜むリスク、具体的な投資方法まで、必要な情報をすべて解説します。
ステーブルコインとは?投資する前に知りたい基礎知識

「ステーブルコインって、ビットコインみたいなものでしょ?」と思っている方もいるかもしれませんね。
実は、そこが一番のポイントで、両者には決定的な違いがあるんです。
投資を始める前に、まずはその基本的な仕組みをしっかり理解しておきましょう。
ビットコインとの決定的違いは「価格の安定性」
ビットコインをはじめとする多くの暗号資産は、価格が激しく変動するのが特徴です。
そのため、決済手段として使うには不安が残ります。
一方で、ステーブルコインは、その名の通り「価格が安定(Stable)」するように設計されています。
多くは「1コイン=1ドル」や「1コイン=1円」のように、特定の法定通貨と同じ価値を保つことを目指しています。
この価格の安定性こそが、ステーブルコインが次世代の決済手段として期待される最大の理由なんです。
ステーブルコインの4つの種類と仕組みを解説
ステーブルコインは、その価値を安定させる仕組み(担保)によって、大きく4つの種類に分けられます。
それぞれの特徴を理解しておくことが、関連銘柄を分析する上でも重要になりますよ。
種類 | 担保となる資産 | 特徴 | 代表例 |
---|---|---|---|
法定通貨担保型 | 米ドル、日本円など | 最も主流で信頼性が高い。発行体の信用が重要。 | USDT, USDC |
暗号資産担保型 | イーサリアムなど | 分散性が高い。担保資産の価格変動リスクがある。 | DAI |
コモディティ担保型 | 金(ゴールド)など | 実物資産に裏付けられ価値が分かりやすい。 | ジパングコイン |
アルゴリズム型 | なし | 仕組みが複雑で、価格が崩壊した過去がある。 | (旧UST) |
①法定通貨担保型(USDT, USDCなど)
最もシンプルで広く普及しているのが、この法定通貨担保型です。
発行体が「1USDCを発行するごとに、銀行に1米ドルを預かる」という仕組みで価値を保証します。
そのため、信頼性が非常に高いのが特徴です。
ただし、発行体が本当に十分なドルを保有しているかという「準備金の透明性」が常に問われます。
②暗号資産担保型(DAIなど)
法定通貨ではなく、イーサリアムなどの暗号資産を担保にして発行されるタイプです。
特定の管理者がいない「分散型」の仕組みで運用できるのが大きなメリットです。
担保となる暗号資産の価格変動リスクに備えるため、預けた資産価値以上のコインは発行できない「過剰担保」という仕組みが採用されています。
③コモディティ担保型(ジパングコインなど)
金(ゴールド)や原油といった、現実世界の「商品(コモディティ)」を担保にするタイプです。
価値が実物資産に裏付けられているため、投資家にとって価値がイメージしやすいという利点があります。
日本国内では、三井物産デジタルコモディティーズが発行する金価格連動の「ジパングコイン」が有名ですね。
④アルゴリズム型(過去の事例とリスク)
特定の担保資産を持たず、独自のアルゴリズムによってコインの供給量を調整し、価格を安定させようとする複雑な仕組みです。
過去には、この仕組みが破綻して価格が大暴落した「Terra/Luna事件」があり、現在はリスクが高いと見なされています。
なぜ今、日本でステーブルコインが熱いのか?市場の将来性と規制動向

では、なぜ今これほどまでに日本でステーブルコインが注目されているのでしょうか。
その背景には、国の法律が大きく変わったという、非常に重要な転換点があります。
JPYCが話題になった理由とは?

最近よく聞く「JPYC」は、日本円に連動するステーブルコインの先駆けです。
もともとは法律上、電子マネーと同じ「前払式支払手段」という扱いでした。
しかし、後述する法改正によって、運営会社が正式な「資金移動業者」として金融庁に登録されたのです。
これにより、JPYCは法律に基づいた正式なステーブルコインとして発行できるようになりました。
この出来事は、日本でステーブルコインが本格的に普及する時代の幕開けを象徴するニュースとして、市場に大きなインパクトを与えました。
日本の規制:2023年6月施行の改正資金決済法がゲームチェンジャーに
2023年6月に施行された「改正資金決済法」が、日本のステーブルコイン市場のゲームチェンジャーとなりました。
この法律によって、日本国内でステーブルコインを発行できるのが「銀行」「信託会社」「資金移動業者」に限られるなど、明確なルールが定められたのです。
ルールが整備されたことで、これまで様子見だった大手金融機関も安心して市場に参入できるようになりました。
これが、関連企業のビジネスチャンスを大きく広げ、株式市場でも一大テーマとして注目されるようになったわけです。
世界の規制動向:米国「GENIUS法」やEU「MiCA」が市場を後押し
日本の動きと歩調を合わせるように、世界でもルール作りが進んでいます。
アメリカでは「GENIUS法」、ヨーロッパでは「MiCA(暗号資産市場規制)」といった規制の枠組みが整備されつつあります。
一見、規制は市場の成長を妨げるように見えるかもしれません。
しかし、実際には投資家を保護し、市場の透明性を高めることで、より多くの人が安心して参加できる健全な市場の土台を作っているのです。
【日本株】ステーブルコイン関連銘柄 全19選をセクター別に徹底分析
ここからは、日本国内のステーブルコイン関連銘柄をご紹介します。
まずは全体像を把握するために、一覧表をご覧ください。その後、特に注目の銘柄をセクター別に詳しく解説します。
コード | 企業名 | 関連事業/技術 | 時価総額(億円) |
---|---|---|---|
8473 | SBIホールディングス | USDCの取り扱い、米サークル社への出資 | 22,396 |
8604 | 野村ホールディングス | GMOと共同でステーブルコイン発行を検討 | 33,771 |
9449 | GMOインターネットグループ | 野村HDと共同でステーブルコイン発行を検討 | 4,226 |
4373 | シンプレクス・ホールディングス | ステーブルコイン発行・償還システムを開発 | 2,733 |
3853 | アステリア | JPYC社へ出資、「JPYCアダプター」を開発 | 288 |
4499 | Speee | 子会社Datachainが発行基盤「プログマ」に出資 | 448 |
4072 | 電算システムホールディングス | JPYC社と資本業務提携、決済基盤を構築 | 513 |
3747 | インタートレード | ジパングコインやデジタル証券の取引システム | 67 |
3775 | ガイアックス | DAO上でのステーブルコイン決済導入に着手 | 33 |
4284 | ソルクシーズ | 金融機関向けシステム開発に強み | 55 |
9753 | アイエックス・ナレッジ | 金融機関向けシステム開発に強み | 167 |
7381 | 北國フィナンシャルHD | 日本初の「預金型ステーブルコイン」を提供 | 1,443 |
7173 | 東京きらぼしFG | ステーブルコインの発行・送金に関する実証実験 | 2,179 |
8354 | ふくおかFG | ステーブルコインの発行・送金に関する実証実験 | 8,632 |
8387 | 四国銀行 | ステーブルコインの発行・送金に関する実証実験 | 608 |
3683 | サイバーリンクス | 円建てデジタル通貨「DCJPY」の実証実験に参加 | 202 |
4395 | アクリート | デジタル地域通貨プラットフォーム企業へ出資 | 76 |
3917 | アイリッジ | 子会社がデジタル地域通貨プラットフォームを提供 | 42 |
8746 | unbankd | 子会社が海外で金価格連動の暗号資産を発行 | 54 |
【本命・大本命】市場の中核を担うIT・金融大手 5選
まずは、時価総額が大きく、事業の根幹でステーブルコインに関わる本命企業から見ていきましょう。
- SBIホールディングス (8473)
- 傘下の取引所で米ドル連動の「USDC」を国内でいち早く取り扱い。
- USDC発行元の米サークル社にも出資しており、グローバルな連携が強み。
- 「第4のメガバンク構想」の中核として、デジタル金融をリードする存在です。
- 野村ホールディングス (8604)
- GMOインターネットグループと共同で、円建て・ドル建てステーブルコインの発行を検討。
- 日本を代表する金融機関としての信頼性とネットワークが最大の武器。
- デジタル資産分野への本格参入で、市場の主導権を握る可能性があります。
- GMOインターネットグループ (9449)
- ネットインフラ事業に加え、金融事業にも積極的。
- 野村HDとの提携により、ステーブルコインの発行・流通の仕組み構築を目指します。
- 以前から海外でステーブルコインを発行しており、技術的な知見も豊富です。
- シンプレクス・ホールディングス (4373)
- 金融機関向けのシステム開発に特化したプロフェッショナル集団。
- ステーブルコインを発行したい企業向けの基盤システム「Simplex Stablecoin」を発表。
- 市場拡大に伴い、裏方としてシステム需要を取り込むことが期待されます。
- アステリア (3853)
- JPYC社に出資するだけでなく、自社のデータ連携ツールとJPYCを繋ぐ「JPYCアダプター」を開発。
- 企業の会計システムなどとステーブルコイン決済を簡単に連携させる技術が強み。
- JPYCの普及が進むほど、同社の技術が求められる場面が増えそうです。
【注目株】独自の技術・サービスで躍進する企業 6選
次に、規模は小さくても独自の強みを持ち、大きな成長ポテンシャルを秘めた注目株です。
- Speee (4499)
- 子会社のDatachain社が、三菱UFJ信託銀行が主導するステーブルコイン発行基盤「Progmat(プログマ)」に出資。
- ブロックチェーンの根幹技術でサポートしており、技術力の高さが評価されています。
- 大企業がひしめく中で、時価総額が比較的小さいため、テーマとして人気化すれば株価インパクトは大きいかもしれません。
- 電算システムホールディングス (4072)
- JPYC社と資本業務提携し、自社の強みである決済・収納代行サービスにJPYCを活用することを目指しています。
- 全国のコンビニなどに持つ決済インフラとステーブルコインの融合は、非常に面白い展開が期待されます。
- インタートレード (3747)
- 金価格に連動する「ジパングコイン」の取引システムを手掛けています。
- また、子会社を通じてデジタル証券の分野にも関わっており、Web3領域での活躍が期待される一社です。
- 時価総額が小さく、テーマ性が物色されやすい銘柄と言えるでしょう。
- ガイアックス (3775)
- ブロックチェーン上で運営される分散型自律組織「DAO」のコンサルティングが主力。
- DAO上でのステーブルコイン決済導入にいち早く着手しており、新しい金融の形を追求しています。
- 時価総額が非常に小さく、ハイリスク・ハイリターンな銘柄です。
- ソルクシーズ (4284) / アイエックス・ナレッジ (9753)
- どちらも金融機関向けのシステム開発に強みを持つ独立系SIerです。
- ステーブルコインが普及する過程で、銀行などの既存システムを改修する必要が生じます。
- そうした特需の恩恵を受ける可能性がある「思惑株」として注目されます。
【金融・地銀】実証実験や地域通貨で参入する銀行株 8選
安定性を重視するなら、ステーブルコイン関連の実証実験に参加している銀行株も選択肢になります。
- 北國フィナンシャルホールディングス (7381)
- 石川県を地盤とする地銀ですが、デジタル金融への取り組みは先進的です。
- 日本初となる、銀行預金を裏付けとした「預金型ステーブルコイン(トチカ)」の提供を開始しています。
- 東京きらぼしFG (7173) / ふくおかFG (8354) / 四国銀行 (8387)
- この3行は、ふくおかFG傘下のネット銀行「みんなの銀行」を中心に、共同でステーブルコインの発行・送金に関する実証実験を行っています。
- 地域金融機関が連携してデジタル通貨に取り組むモデルケースとして注目されています。
- サイバーリンクス (3683) / アクリート (4395) / アイリッジ (3917)
- これらの企業は、主に「デジタル地域通貨」の分野でステーブルコイン技術に関わっています。
- 自治体と連携し、特定の地域で使えるデジタル通貨のプラットフォームを提供しており、地方創生の観点からも注目される分野です。
- unbankd (8746)
- 子会社が海外で金(ゴールド)価格に連動する暗号資産を発行しています。
- コモディティ担保型のステーブルコイン関連として、面白い存在です。
【米国株】グローバル市場で注目すべきステーブルコイン関連銘柄 6選
投資の視野を広げ、ステーブルコインの本場である米国の企業にも目を向けてみましょう。グローバルな視点を持つことは、大きなリターンを狙う上で非常に重要です。
企業名 | ティッカー | 関連事業/技術 |
---|---|---|
Coinbase | COIN | USDCの共同開発元、大手暗号資産取引所 |
Visa | V | 決済ネットワークでUSDCの利用を推進 |
Mastercard | MA | 暗号資産関連のコンサルティング、決済導入を支援 |
Block | SQ | Cash Appを通じた暗号資産サービスに注力 |
PayPal | PYPL | 独自ステーブルコイン「PYUSD」を発行 |
Circle | – | USDCの発行元(※現在非上場だが市場の注目度は高い) |
発行・インフラを担う企業(Circle, Coinbase)
ステーブルコイン市場の成長は、その発行や取引を支える企業の成長と直結します。
USDCの発行元であるCircle社(現在は非上場)や、共同開発元であり米国最大級の暗号資産取引所であるCoinbase社 (COIN) は、まさにその中核を担う存在です。
決済ネットワークへの活用を進める企業(Visa, Mastercard, Block)
Visa (V) や Mastercard (MA) といった巨大クレジットカード会社も、ステーブルコインを自社の決済ネットワークに統合する動きを加速させています。
また、Block (SQ) や PayPal (PYPL) のような決済サービス大手も、暗号資産をサービスの柱の一つと位置づけており、市場の拡大を後押ししています。
投資前に確認必須!ステーブルコイン関連株の5つのリスク

どんな投資にもリスクはつきものです。
特に、ステーブルコインのような新しい分野に投資する際は、事前にリスクをしっかり理解しておくことが大切です。
①規制リスク:各国の法整備が事業に直結
市場を後押ししている法整備ですが、逆に想定外の厳しい規制が導入された場合、企業の事業計画に大きな影響を与える可能性があります。
各国の規制当局の動向は、常に注意深く見ておく必要があります。
②技術リスク:ハッキングやシステムの脆弱性
ステーブルコインを支えるブロックチェーン技術はまだ発展途上です。
スマートコントラクトと呼ばれるプログラムの欠陥を突いたハッキングや、サイバー攻撃による資産流出のリスクはゼロではありません。
③信用リスク・流動性リスク:発行体の破綻とデペッグの恐怖
法定通貨担保型の場合、発行体の信用がすべてです。
もし発行体が破綻したり、取り付け騒ぎが起きたりすると、コインの価値が暴落する恐れがあります。
また、「1コイン=1ドル」の価値が崩れる「デペッグ」という現象もリスクの一つです。
有望銘柄を見つけたら。ステーブルコイン関連株が買えるおすすめ証券会社
ここまで読んで、実際に投資を検討されている方もいるかもしれません。ここでは、紹介した日本株と米国株の両方を手軽に取引できる、おすすめのネット証券をご紹介します。
証券会社 | 日本株 | 米国株 | 特徴 |
---|---|---|---|
SBI証券 | ◎ | ◎ | ネット証券口座開設数No.1。手数料が業界最安水準で、初心者にもおすすめ。 |
楽天証券 | ◎ | ◎ | 楽天ポイントが貯まる・使える。情報ツール「マーケットスピード」が人気。 |
マネックス証券 | ◎ | ◎ | 米国株の取扱銘柄数が豊富。独自の分析レポート「銘柄スカウター」が強力。 |
ステーブルコイン投資に関するQ&A

最後に、ステーブルコイン投資に関してよくある質問にお答えします。
Q1. 結局、どの銘柄が一番の「ガチホ」向けですか?
残念ながら、「この銘柄だけ買えば絶対大丈夫」という正解はありません。
大切なのは、自身の投資スタイルに合わせて銘柄を選ぶことです。
- 安定性を重視するなら:SBIや野村HDのような金融大手や、大手地銀株。
- 高いリターンを狙うなら:Speeeやガイアックスのような、時価総額が小さく成長ポテンシャルの高い注目株。
このように、本記事で紹介したセクター分けを参考に、ご自身のリスク許容度と相談してみてくださいね。
Q2. 専門家の間では、将来性について意見が割れている?
はい、その通りです。
市場が熱狂する一方で、一部の専門家からは冷静な意見も出ています。
例えば、大手金融機関JPモルガンは「ステーブルコインの主な用途は決済ではなく、暗号資産取引が中心」と分析しています。
こうした多角的な視点を持つことは、冷静な投資判断を下す上で非常に重要です。
Q3. ステーブルコイン自体に直接投資はできないのですか?
SBI VCトレードなどの国内暗号資産取引所で、USDCなどを購入することは可能です。
ただし、重要なのはその目的です。
ステーブルコインは、あくまで「価値が安定した通貨」であり、株式のように値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う投資対象とは性質が異なります。
資産を一時的にデジタル通貨として保管したり、送金したりする目的で利用するのが一般的です。
まとめ:次世代の金融インフラ「ステーブルコイン」の波に乗るために
今回は、今大注目のステーブルコイン関連株について、網羅的に解説しました。
最後に、この記事の重要ポイントを振り返っておきましょう。
- ステーブルコインは「価格の安定性」が特徴で、次世代の決済手段として期待されている。
- 日本では2023年の法改正を機に、大手金融機関が続々と参入し、市場が本格的に立ち上がった。
- 関連銘柄は「本命・大本命」「注目株」「金融・地銀」など、多様な選択肢がある。
- 米国株にも目を向けることで、グローバルな成長の恩恵を受けるチャンスがある。
- 規制や技術など、新しい分野ならではのリスクも正しく理解しておくことが重要。
ステーブルコインは、単なる一時的なブームではなく、これからの金融のあり方を大きく変える可能性を秘めた技術です。
この大きな変化の波に乗り遅れないよう、まずは情報収集を続け、ご自身のリスク許容範囲内で少額から投資を検討してみてはいかがでしょうか。